青史出版

舎利荘厳美術の研究 

しゃりしょうごんびじゅつのけんきゅう

内藤 栄著
A5判 362頁  図版多数

 
定価 13,200円(税込)

 ISBN978-4-921145-41-5 C3071

※重版出来しました。      
  2010年3月30日発行
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 釈迦の遺骨=舎利は祖師をしのぶ聖遺物として仏教圏で広く信仰されている。
 しかし、しばしば舎利信仰は祖師崇拝から離れて、舎利を願いをかなえる不可思
 議な宝物と見なす信仰が現れ、平安時代以降のわが国では特にその傾向が顕
 著だった。
 空海以降、舎利を宝珠と、あるいは一字金輪の種子と同一視し、密教修法の本
 尊としてまつることが行われた。それにともない舎利塔や舎利容器も独自の発展
 をとげた。
 本書は経典や文献を駆使し、舎利荘厳美術の形と信仰とのつながりを解明する
 画期的な研究である。


  
【目次より
  序章  はじめに/1 先行研究の成果と課題/2 本書の構成
  第一部 真言密教の舎利観 
    一 後七日御修法にみる空海の舎利観について
    二 真言宗小野流の舎利法と宝珠法
  第二部 叡尊の舎利信仰と宝珠法の美術
    一 密観宝珠形舎利容器について
    二 西大寺鉄宝塔と小野三流の舎利法に関する遺品について
    三 西大寺金銅宝塔について
    四 如法愛染法と如法尊勝法の美術
  第三部 重源の舎利信仰と三角五輪塔の起源
    一 三角五輪塔と醍醐寺
    二 三角五輪塔の起源と安祥寺毘盧遮那率都婆
  補論 天台宗の舎利信仰−中尊寺金色堂と如法仏眼法−
  
  

   
   
※ 國華賞 受賞
   
  國華社・朝日新聞社主催の第22回(平成22年度)國華賞を受賞しました。

[選評から-抜粋]
従来の研究にはやや希薄な側面もあった当該分野の思想史的アプローチへの新たな可能性を提示した点が際立っており……問題なく國華賞にふさわしい作品と認められた。

本書は、著者の博士学位論文を骨子とするが、既存の研究成果と最近の研究動向をきちんと踏まえ、構成は精緻であり、史料の引用と検討も細心に行われている。現存する遺品の工芸史的な記述も適切である。本書は、博物館員としての展観の実績と研究とが密接に連関した好著であることを疑わない。



※ 『読売新聞』2010(平成22)年5月6日夕刊〔大阪本社版〕、
          同年6月28日夕刊〔東京本社版〕
で紹介されました。
 

  内藤 栄 = ないとう さかえ
            昭和35年 埼玉県生まれ
            昭和63年 筑波大学大学院博士課程芸術学研究科単位取得退学
              サントリー美術館主任学芸員を経て、
           平成8年より奈良国立博物館に勤務 同学芸部長・工芸考古室長
           現 在  大阪市立美術館館長 博士(芸術学)
      主要論文= 「叡尊の舎利信仰と宝珠法の美術」「密観宝珠形舎利容器について」「聖武天皇の持戒と正倉院宝物の献納」